10月13日、韓国の株価指数(韓国の会社の株の値段をまとめた数字)が、1日で5.46%も下がりました。大きく下がったのは、サムスン電子とSKハイニックスという、半導体のメモリーを作る2つの会社の株です。
半導体とは、パソコンやスマホやAIのコンピューターの中で、計算したりデータを覚えたりする小さな部品のことです。きっかけの1つは、中国の会社が「年末に新しいメモリーを出す」と言ったことでした。
同じ日、日本でも日経平均(日本の代表的な225社の株の値段をまとめた数字)が1.82%下がり、メモリーを作るキオクシアの株は13.28%も下がりました。となりの国の、まだ1つも並んでいない新製品の話が、日本の株にも届いたのです。
この記事は「こういうことがありました → 今日はこれを学びましょう」の順で進みます。
こういうことがありました ― 韓国株が1日で5.46%下がった
10月13日、韓国株の値段をまとめた株価指数「KOSPI(コスピ)」は6,035.35で終わり、前の日より5.46%下がりました。
取引の途中には5,911.11まで下がり、前の日より約7.4%安くなった時間もありました。午前9時47分ごろには、あわてた売り買いを落ち着かせるため、コンピューターが自動で出す注文を5分だけ止めるしくみが動くほどでした。

いちばん大きく下がったのは、メモリーを作る2つの会社です。
- サムスン電子:7.39%安
- SKハイニックス:10.09%安
この2社は、韓国の株価指数の中でとても大きな会社です。9月の平均で、2社だけで韓国の株の時価総額(株の値段×株の数。会社の大きさを表す数字)の約53%をしめていました。2社が大きく下がると、韓国の株全体が大きく下がって見えるのは、このためです。

じつは前の日の10月12日にも、韓国の株価指数は3.65%下がっていました。10月2日の7,003.74から数えると、5日続けて下がり、約14%安くなっています。
そもそもどこの話? ― 韓国と中国、そして日本
今回の話には、メモリーを作る会社がある韓国と、新しいライバルの会社がある中国、そしてその動きが届いた日本が出てきます。

地図の色の意味はこうです。
- 韓国(赤):日本のとなりの国です。首都はソウルで、日本でいう東京にあたる町です。サムスン電子もSKハイニックスも韓国の会社です
- 中国(オレンジ):新しいライバルの会社CXMT(チャンシン・メモリー)がある国です。CXMTは2016年にできた、中国の合肥という町にあるメモリーの会社です
- 日本(青):私たちの国です。キオクシアなど、メモリーを作る会社があります
韓国は「半導体の国」
韓国にとって、半導体はとても大事な売り物です。9月に韓国が外国へ売ったものは全部で1209億ドルでした。そのうち半導体が603億ドルで、約半分をしめています。どちらも、これまでで一番多い金額です。
そして韓国の株価指数は、会社の時価総額をもとに計算します。半導体の2社だけで時価総額の約半分をしめるので、韓国の株は、半導体の会社のもうけの見込みで大きく動きます。
メモリーってなに ― パソコンの「作業机」と「倉庫」
メモリーは、コンピューターがデータを覚えておくための半導体で、「作業机」と「倉庫」の2種類があります。

- DRAM(ディーラム)=作業机:コンピューターが今使っているデータを、机の上に広げておくメモリーです。電源を切ると消えます。サムスン電子とSKハイニックスが得意です
- NAND(ナンド)=倉庫:写真や書類のデータを、電源を切ってもしまっておけるメモリーです。キオクシアが作っています
AIのコンピューターは、ものすごい量の計算をするので、広い作業机がたくさん要ります。だからAIのブームで、メモリーの取り合いが起きていました。
作業机のメモリー(DRAM)は、2026年4月から6月の売上で、サムスン電子・SKハイニックス・アメリカのマイクロンの3社が、世界の8割台後半をしめています。そこへ、中国のCXMTが約1割まで伸びてきました。1月から3月は8%でした。
なぜ1日でこんなに下がったのか ― 2つの理由が重なった
韓国のメモリーの会社の株は、2つのことが重なって大きく下がりました。中国のライバルが新しいメモリーを予告したことと、株を買い支えていた会社と外国の投資家が手を引いたことです。

1つ目:中国のライバルが、新しいメモリーを予告した
中国のCXMTが、10月10日、上海の催しで「新しい作り方のサーバー用メモリーを、年末に出す」と言いました。サーバーとは、AIやインターネットのサービスを動かす大きなコンピューターのことです。
これを聞いて、「ライバルが強くなれば、メモリーの値段が下がって、韓国の会社のもうけが減るかもしれない」と考えた人たちが、株を売りました。
ただし、韓国の新聞は、CXMTの新しいメモリーをどれだけ作れるのか、お客さんが使ってくれるのかは、まだ分かっていないとも書いています。業界の人は「まだ差が埋まったとは言えない」と話しています。
2つ目:株を買い支えていた会社と外国の投資家が、手を引いた
もう1つは、それまで株を買い支えていた会社が買うのをやめ、そこへ外国の投資家の売りが重なったことです。
サムスン電子は自社株買いを終え、SKハイニックスも今週で終える予定でした。自社株買いとは、会社が自分のお金で、市場から自分の会社の株を買い戻すことです。会社が毎日自分の株を買っていると、ほかの人が売っても、その分を受け止めてくれます。
その受け止め役がいなくなったところに、外国の投資家の売りが重なりました。10月13日の外国の投資家の売りは、4兆ウォンをこえました。
さらに、AIにお金が回り続けるのかという心配もありました。アメリカの通信社APは、「AIのブームで株が上がりすぎているのでは」という心配が売りにつながったと伝えています。
商店街のパン屋さんで考えると
2つの理由は、商店街のパン屋さんにたとえると1つの話になります。

ある商店街に、人気のパン屋さんが2軒ありました。食パンは毎日売り切れで、高い値段でもよく売れます。そこへ、となり町に新しいパン屋さんができて、「年末に、同じ食パンを出します」と言いました。
まだ1つも並んでいないのに、パン屋さんの「お店の株」を持っていた人たちは「食パンの値段が下がるかも」と心配して、株を手放し始めました。しかもちょうどそのころ、それまで自分の株を買い支えていたパン屋さんが、買うのをやめていました。
- 人気のパン屋さん2軒が、サムスン電子とSKハイニックスです
- となり町の新しいパン屋さんが、中国のCXMTです
- 株を買い支えるのをやめたのが、自社株買いの終わりです
日本の私たちには ― 日本の株と、オルカンの中の韓国
韓国のメモリーの会社の株が売られた流れは、同じ日に日本の株にも届きました。

日本の株も下がった
日本は10月12日が祝日で、株の取引が休みでした。3連休明けの10月13日、日経平均は67,777.52円で終わり、1.82%下がっています。
日本経済新聞は、下がった理由を2つ挙げています。
- 12日のアメリカで、CXMTの新しいメモリーの報道を受けて、半導体の会社の株が売られた
- イエメンの武装グループ「フーシ派」がサウジアラビアの首都リヤドの空港を攻撃し、原油の値段が上がった
フーシ派は、イエメンの北の地域を支配している武装グループです。このシリーズの第1回・第2回で見た、中東のニュースと同じ話です。
メモリーの会社では、キオクシアの株が13.28%下がりました。キオクシアは、データをしまう倉庫のメモリー(NAND)を作る日本の会社で、1987年にこのメモリーを発明した東芝のメモリーの事業を、2017年に引き継ぎました。
アメリカの株でも、作業机のメモリーで世界3位のマイクロンが、2日続けて3%台の下げになりました。
オルカンの中の韓国
NISAでオルカン(世界中の株にまとめてお金を入れる投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」)を積み立てている人は、こう思うかもしれません。「韓国の株が下がったら、私のオルカンも下がるの?」
オルカンの9月30日のレポートでは、国ごとの割合は次のとおりです。
- アメリカ:63.4%
- 日本:5.2%
- 韓国:2.5%(6番目)
韓国は2.5%なので、1万円のうち250円ぶんです。3月の終わりには1.8%だったので、半年で少し増えました。
上位10の会社には、サムスン電子もSKハイニックスも入っていません。ただし10番目に、アメリカのメモリーの会社マイクロン(1.1%)が入っています。メモリーの値段の心配は、韓国だけでなく、オルカンの中のアメリカの会社にも届く話なのです。
投資の目線で見ると ― メモリーが安くなるときの追い風・向かい風
もしメモリーの値段が下がると、メモリーを作る会社には向かい風、メモリーを買って使う会社には追い風が吹きやすくなります。

- 向かい風:メモリーを作る会社。同じ数を売っても、入ってくるお金が減ります
- 追い風:メモリーを買って使う会社。パソコンやスマホ、AIのコンピューターを作る会社は、部品の値段が下がると、作るためのお金が少なくて済みます
ただし、今回の話はまだ「予告」です。CXMTの新しいメモリーが、本当にたくさん作れて、お客さんに使われるかは分かっていません。
だからメモリーのニュースは、「本当に値段が下がったのか、それとも心配だけで売られたのか」を分けて見ると、読みまちがえにくくなります。
※特定の銘柄(株を売り買いできる1つ1つの会社)をすすめるものではありません。
こうした「お金の守り方」の考え方をまとめた資料は、記事の最後に置いておきました。
今日の言葉 ― 「時価総額」
時価総額は、会社の株の値段に、その会社の株の数をかけた数字です。会社の大きさを、株の市場がつけた値段で表しています。

- 計算のしかた:株の値段 × 株の数。株の値段が下がると、時価総額も同じ割合で小さくなります
- 株価指数との関係:韓国の株価指数KOSPIは、韓国の会社の時価総額を合わせた数字をもとに計算します。時価総額の大きい会社ほど、指数を大きく動かします
- 今回は:サムスン電子とSKハイニックスの2社で、韓国の株の時価総額の約53%(9月の平均)をしめていました
時価総額の大きい半導体の2社が大きく下がったので、韓国の株価指数も1日で5.46%下がりました。
クラスの全員の貯金箱の合計を、毎日発表するとします。そのうち2人の貯金箱だけで合計の半分をしめていたら、その2人の貯金が減るだけで、クラスの合計は大きく減ります。韓国の株価指数とサムスン電子・SKハイニックスの関係は、これと同じです。
ニュースで「〇〇の株価指数が急落」と聞いたら、どの会社が大きく下がったのか、その会社が時価総額のどれくらいをしめているのかを見ると、何が起きたのかが分かりやすくなります。
よくある質問
10月13日、韓国の株はどれくらい下がったのですか
韓国の株価指数KOSPIは、前の日より5.46%下がって6,035.35で終わりました。取引の途中には約7.4%安くなった時間もありました。サムスン電子は7.39%、SKハイニックスは10.09%下がりました。
なぜ韓国の株がこんなに下がったのですか
報道では、中国のメモリーの会社CXMTが新しいメモリーを年末に出すと言ったこと、サムスン電子とSKハイニックスの自社株買いが終わったこと、外国の投資家の売り、AIにお金が回り続けるのかという心配が重なったと伝えられています。
CXMTはどんな会社ですか
中国の合肥という町にある、作業机のメモリー(DRAM)を作る会社です。2016年にできて、2026年7月に上海の株の市場に上場しました。DRAMの世界の売上で、約1割をしめるまで伸びています。
日本の株にも関係があるのですか
あります。10月13日、日経平均は1.82%下がりました。日本経済新聞は、アメリカで半導体の会社の株が売られたことと、原油の値段が上がったことを理由に挙げています。メモリーを作るキオクシアの株は13.28%下がりました。
オルカンを積み立てています。どう考えればいいですか
オルカンの中の韓国の割合は2.5%(9月30日)なので、韓国の株だけで大きく動くわけではありません。ただし、アメリカのメモリーの会社マイクロンも上位10の会社に入っています。
世界中の株にまとめて入れているので、1つの国や1つの業種のニュースで値段が上下しても、長い目で積み立てを続けるかどうかを考える材料にするのが大事です。
自社株買いが終わると、なぜ株が下がりやすいのですか
自社株買いとは、会社が自分のお金で、市場から自分の会社の株を買い戻すことです。会社が毎日買っていると、ほかの人が売っても、その分を受け止めてくれます。その買い手がいなくなると、売りたい人の注文を受け止める人が減るので、株の値段は下がりやすくなります。
今回は、そこへ外国の投資家の売りが重なりました。
メモリーの値段は、これから下がるのですか
まだ分かりません。CXMTの新しいメモリーが、どれだけ作れて、お客さんに使ってもらえるかは、まだはっきりしていないと報じられています。今回の株の下げは、値段が下がったからではなく、「下がるかもしれない」という心配で起きました。
おわりに ― ニュースは、自分のお金の話です
中国の会社の「年末に出します」という予告が、韓国の株を大きく下げ、その日のうちに日本の株と、オルカンの中のアメリカの会社にも届きました。
第1回・第2回は中東の原油が、第3回はAIのお金が、第4回は金利(お金のレンタル料)が、自分のお金に届くまでのつながりを見ました。今回見たのは、AIのブームを支えるメモリーという部品の話が、となりの国から日本へ届くまでです。
このシリーズのテーマは、世界で起きたことを1つずつ取り上げて、小学生でもわかる言葉で「今日はこれを学びましょう」と読み解くことです。
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