
「今年こそは、この目標を達成するぞ」
年始や期初にそう誓ったにもかかわらず、日々の業務に追われるうちに、いつの間にかその目標が立ち消えになってしまった。そんな経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
私たちは、目標達成のためには「ポジティブな思考」や「詳細な計画」が重要だと教わってきました。しかし、本当に厳しい局面で私たちを支えてくれるのは、時として、それとは全く逆の思考法だったりします。
先日、私が長野県の北アルプスに登った際の体験が、この答えを驚くほど明確に教えてくれました。
今回は、その体験から導き出された、あなたのビジネスを成功に導くための「3つの逆説的なマインドセット」をご紹介します。

逆説1:「恐怖」を羅針盤として活用する
ビジネスの世界では、「リスクを取るな」としばしば言われます。
しかし、本当に大きな成長は、常にリスクの先にあります。
つまり、私たちが「怖い」と感じる仕事こそ、最も挑戦すべき価値があるのです。
私も、山で強風と濃いガスに巻かれ、視界がほぼゼロになった時、心臓が凍りつくような強烈な恐怖を感じました。
「もう終わりかもしれない」という最悪の考えが頭をよぎったのです。
しかし、この恐怖の正体は、危険そのものではなく、自分が「これまで経験したことのない未知の領域に足を踏み入れた」というサインでした。
安全な場所にいる限り、私たちは本物の恐怖を感じることはありません。
もし今、あなたが仕事で「このプロジェクトは怖いな」「この決断はプレッシャーがかかるな」と感じているなら、それはチャンスのサインです。あなたの羅針盤が、まさに「成長」の方向を指している証拠なのです。
逆説2:巨大な壁は「次の一歩」にまで分解する
「売上を倍増させる」「業界No.1になる」といった壮大な目標は、私たちを鼓舞すると同時に、そのあまりの巨大さに、時に行動を麻痺させます。
私も、ガスの中で「無事に生還する」という巨大な目標を前にして、一瞬、足がすくんでしまいました。
しかし、その状況を打開できたのは、「生還」について考えるのをやめ、意識のすべてを「バランスを崩さず、右足を、目の前のあの岩に確実に置く」という、たった一つの具体的な行動に集中させた瞬間でした。
巨大な壁に見えていた問題も、突き詰めれば必ず、具体的な「次の一歩」にまで分解できます。
あなたの壮大な目標を、今日、今からできる「たった一つの具体的な行動」にまで落とし込んでみてください。
巨大な壁を崩す突破口は、常にそこにあります。

逆説3:「How(どうやるか)」より「Why(なぜやるか)」を問い続ける
問題解決に行き詰まった時、私たちはつい「どうすれば解決できるか?」という「How」ばかりを議論してしまいがちです。
しかし、チームが本当に力を発揮するのは、「そもそも、私たちはなぜこれをやっているんだっけ?」という「Why」に立ち返った時です。
私が強風の中で行動を続けられたのは、「もっと効率的な歩き方」のような新しい「How」を思いついたからではありません。
「なぜ、自分はこの厳しい挑戦をしているのか」という、この旅の目的であり、原点である「Why」を思い出したからです。
もしあなたのチームが停滞しているなら、一度「How」の議論から離れてみてください。
そして、「私たちの仕事が、お客様や社会にどのような価値をもたらすのか」という原点を、皆で再確認すること。
それが、どんな高価なツールや最新の戦略よりも、力強い推進力となるはずです。

まとめ:成功とは「新しい視座」を手に入れること
いかがでしたでしょうか。
- 恐怖を、成長のサインとして歓迎する。
- 巨大な問題を、具体的な「次の一歩」まで分解する。
- 方法論に迷ったら、目的や理念(Why)に立ち返る。
成功とは、単に山頂に旗を立てることではありません。それは、昨日までの自分には見えなかった、新しい景色を見るための「視座」を手に入れることです。
その新しい視座に立てば、これまで見えもしなかった、次なる挑戦の山々が眼前に広がっていることに気づくでしょう。
さあ、あなたの次の目標という名の山は、どれですか?
