Claude CodeやCodexを、パソコンの「ダウンロード」フォルダで起動している方は、今日からやめてください。
いまXで、「ダウンロードのフォルダでClaude CodeやCodexを起動するな」という投稿が大きく広がっています。Webページを開いただけで、ダウンロードのフォルダに1枚のメモのファイルがこっそり置かれる。
そのフォルダでAIを起動すると、AIがメモを「あなたの指示」だと思って従い、パソコンが乗っ取られたり、ログインの鍵が抜かれたりするという話です。
この記事では、その投稿を、専門用語が分からなくても読めるように1つずつ噛み砕きます。元になったセキュリティ会社の報告も確かめました。
守り方はむずかしくありません。やることは次の5つです。
- 専用の作業フォルダを作り、Claude Code・Codexはそこで起動する
- 起動する前に、フォルダにCLAUDE.md・AGENTS.md・.claudeが無いかを見る
- 「このフォルダを信頼しますか」の画面は、中身を確かめてから「はい」を押す
- Claude Code・Codexの設定ファイルを開いて、知らない行が無いかを見る
- Chromeの「保存場所を確認する」をオンにする
記事の最後では、この手順を1つずつ進められる情報漏えい対策マニュアル(PDF)を、公式LINEでお渡ししています。
話題になっている投稿
ダウンロードのフォルダでClaude Codeを起動するなという話題の元は、Watkin Labさん(@0xWatkin)の10月26日の投稿です。セキュリティの失敗例を毎日紹介しているアカウントです。
中国語の投稿で、2,000回以上リポストされています。
https://x.com/0xWatkin/status/2114538646254633135
要点を日本語にすると、こう書かれています(訳はこちらでつけました)。
絶対に、ダウンロードのフォルダでClaude CodeやCodexを起動しないでください。
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過去30年、Chromeは、Webページが確認なしにダウンロードのフォルダへ文字だけのファイル(.mdなど)を置くのを許してきました。文字だけのファイルは.exeとちがって勝手に動かないので、怖くないと考えられてきたからです。
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攻撃者は、Webページからこっそり、13KBのAGENTS.mdやCLAUDE.mdをダウンロードのフォルダに置きます。
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Codexには(成功率90%超)、全体の設定に悪いMCPサーバーを登録させます。ダウンロードのフォルダを閉じても、あとでどのプロジェクトでCodexを開いても、仕込まれたものは読み込まれてしまう。
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Claude Codeには(成功率およそ50%)、.claude/settings.jsonを作らせ、ANTHROPIC_BASE_URLを攻撃者のサーバーに向けさせます。つないだ最初の1秒で、ログインのトークンは攻撃者の手に。
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この穴にCVEは付かず、OpenAIもAnthropicも修正を出しません。ブラウザが文字のファイルを保存するのも、AIがフォルダの中のMarkdownを真面目に読んで従うのも、どちらも正常な機能だからです。
カタカナと英語が多くて、ピンと来ない方も多いと思います。次の節から、1つずつ噛み砕いていきます。
投稿を、専門用語なしで読み解く
ページを開いただけで、「メモのファイル」が置かれる
.mdは、ただの文字が書かれたメモのファイルです。メモ帳で開けて、開いても何も起きません。
これまで、ブラウザは2種類のファイルを分けて扱ってきました。
- .exe(プログラム):開くとパソコンの上で動き出す。だから、ダウンロードのときに警告が出る
- .mdや.txt(文字だけのメモ):開いても読めるだけ。だから、警告なしで保存されることがある
Webページは、開いた人がクリックしなくても、裏でファイルを保存させることができます。つまり、ふつうにWebページを見ていただけで、知らないメモがダウンロードのフォルダに増えていることがあります。
Claude Codeは、置かれたメモを「あなたの指示」として読む
Claude CodeやCodexは、起動したフォルダにあるCLAUDE.md・AGENTS.mdを、最初に読む「作業のルール」として扱います。本来は、使う人が「このフォルダではこう作業してね」と書いておくためのメモです。
AIは、そのメモを書いたのがあなたか、攻撃者かを見分けられません。ダウンロードのフォルダで起動した瞬間に、攻撃者のメモが「あなたからの指示」になります。
これは、ブラウザで使うChatGPTの画面では起きません。Claude CodeやCodexのように、自分のパソコンの中でファイルを読み書きできるAIだから起きる話です。
Codexの場合:外の道具を勝手に差し込まれ、パソコンが乗っ取られる
Codexには、「外の道具の差し込み口」(MCPサーバー)があります。ここに道具を登録すると、Codexがその道具を使えるようになります。
攻撃者のメモは、「作業のルール」に見せかけて、攻撃者の道具をこの差し込み口に登録させます。登録された道具は、外から部品を取ってきて、あなたのパソコンの上で動きます。
しかも登録先は、どのフォルダでCodexを開いても読まれる「全体の設定」です。ダウンロードのメモを消しても、書き足された設定は残ったままです。
Claude Codeの場合:ログインの鍵が抜かれる
Claude Codeは、Anthropic(Claudeの会社)のサーバーにつないで動いています。このつなぎ先の住所を書いておく場所が、設定の「ANTHROPIC_BASE_URL」です。
攻撃者のメモは、「社内の中継サーバーを使うルールです」という顔をして、Claude Codeのつなぎ先の住所を、攻撃者のサーバーに書き換えさせます。
住所が変わったことに気づかないまま、Claude Codeはいつものようにつなぎに行きます。そのとき、あなたのClaude Codeのログインの鍵(合鍵)が、攻撃者に渡ります。
投稿によれば、そのあと攻撃者はAIのふりをして、AIの周りの柵(サンドボックス)を外す命令を送り、パソコンを乗っ取るところまで書かれています。
「直す人がいない」とは、どういうことか
CVEは、見つかった弱点に付く通し番号です。番号が付くと、ソフトの会社が修正を出します。
今回は、ブラウザも、AIも、作られたとおりに動いているだけです。壊れているところが無いので、番号も付かず、修正も出ません。アップデートを待っても防げない。だから、使う側の習慣で防ぐしかありません。

元になった報告を確かめました
投稿の元は、セキュリティ会社のForever Securityが10月22日に公表した報告です。題は「Markdown Is the New Executable(Markdownは新しい実行ファイル)」。
10月25日には、海外のセキュリティ専門メディアのBleepingComputerも報じました。
報告で確かめられたことは、次のとおりです。
- 実際の利用者のパソコンのダウンロードのフォルダから、攻撃用のAGENTS.mdが見つかっている
- 攻撃用のメモは、「エンジニアの作業ガイドライン」に見せかけた13KBほどの長い文書
- Codexは、無害な中身で試した9割を超える回で指示に従った
- Claude Codeが設定ファイルの書き込みに応じたのは、およそ半分の回
- Webページを開くだけで保存されるかは、BleepingComputerが、無害なAGENTS.mdがChromeで自動で保存されることを確かめている
投稿と報告で言い方がちがうところが1つあります。投稿の「開発者の約50%がダウンロードのフォルダで起動している」は、報告では「Forever Securityの顧客のおよそ半分」でした。どちらにしても、多くの人がやっている使い方だということです。
報告に出てくる攻撃の中身はMac向けに見えます。ただ、「起動したフォルダのメモを読む」のはWindowsでも同じなので、Windowsの方も同じように気をつけてください。

まず10秒で、今の状態を確かめる
Claude Code・Codexが書き換えられていないかは、3か所を見れば10秒で確かめられます。Watkin Labさんも続けて投稿している自己チェックです。
- ダウンロードのフォルダに、覚えのないAGENTS.md・CLAUDE.mdが無いか
- Codexを使っている方は、ホームのフォルダの中の
.codexのconfig.tomlに、知らない[mcp_servers.〇〇]が無いか - Claude Codeを使っている方は、
.claudeのsettings.jsonに、自分で書いた覚えの無いANTHROPIC_BASE_URLが無いか
.codex や .claude は、名前の頭に点が付いた「隠しフォルダ」です。Windowsはエクスプローラーの「表示」→「隠しファイル」、Macは Finder で Command+Shift+ピリオドを押すと見えるようになります。
どれも無ければ、ひとまず大丈夫です。次の5つを習慣にしてください。

今日からやる対策は5つ
いちばん効くのは、ダウンロードのフォルダでClaude Code・Codexを起動しないことです。そのうえで、残りの4つを重ねます。
1. 専用の作業フォルダで起動する
AIに作業させるときは、作業用のフォルダを1つ作り、そこでClaude Code・Codexを起動します。ダウンロードしたファイルを扱わせたいなら、そのファイルだけを作業フォルダに移してから起動してください。
デスクトップも、ダウンロードと同じく物がたまりやすい場所です。
迷ったら、中身が空のフォルダで起動して、あとから作業するフォルダに入るやり方でもかまいません。Watkin Labさんも勧めているやり方で、最初に読まれるフォルダに、何も置かれていない状態を作るのがねらいです。
OpenAIとAnthropicも、プロジェクトのフォルダから起動するよう勧めています。
2. 起動する前に、フォルダの中を見る
起動する前に、そのフォルダにCLAUDE.md・AGENTS.md・.claude・.codex・.mcp.jsonが無いかを見ます。隠しフォルダを表示してから見てください。
自分で置いた覚えが無いものがあれば、AIを起動せずに、メモ帳などで中身を読みます。
3. 「このフォルダを信頼しますか」で止まる
Claude Codeは、初めてのフォルダで起動すると「このフォルダを信頼しますか」と聞いてきます。ここで「はい」を押すと、そのフォルダの設定が使われるようになります。
この画面で止められるのは、権限などの設定の一部です。フォルダの中のメモが読まれる心配は残るので、2. で中を見てから「はい」を押します。ダウンロードやホームのような広いフォルダは、信頼しません。
4. 設定ファイルを時々開く
Claude Code・Codexが書き換えられていないかは、設定ファイルを開けば一目で分かる。見る場所は、上の10秒チェックの2つ目と3つ目と同じ。
Claude Codeなら、中で /status と打つと、読まれている設定ファイルの一覧が出るので、あわせて見ておくと安心です。
あわせて、確認を全部飛ばすモードは、ふだんは使いません。Claude Codeの bypassPermissions、Codexの --dangerously-bypass-approvals-and-sandbox(--yolo)です。
どちらの公式も、メモに仕込まれた命令への守りにならない、勧めない、という立場です。
5. Chromeの「保存場所を確認する」をオンにする
Chromeの設定で、ファイルを保存する前に毎回聞いてくるようにできます。
- Chromeの右上の「︙」から「設定」を開く
- 左のメニューの「ダウンロード」を開く
- 「ダウンロード前に各ファイルの保存場所を確認する」をオンにする
もう1か所、「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「サイトの設定」→「追加の権限」→「自動ダウンロード」で、サイトが勝手にファイルを落とせるかを決められます。
ただし、確認の画面が出ても、そのまま「保存」を押せば置かれてしまいます。Chromeの設定は保険で、主役はダウンロードのフォルダで起動しないことです。

補足:自分のメモを先に置いておく方法
投稿の返信欄では、「ダウンロードのフォルダに、自分で書いたCLAUDE.md・AGENTS.mdを先に置いておく」案も出ていました。同じ名前のファイルがあると、あとから落ちてきたものは別の名前で保存されるので、AIに読まれにくくなります。
Watkin Labさん本人は、これを「2つ目の守りとしては良い。それでも、ダウンロードのフォルダは危ない場所として扱って」と答えています。置いておくのはかまいませんが、ダウンロードで起動しないのが先です。

もし、知らない行を見つけたら
Claude Code・Codexの設定に知らない行が入っていたら、消すだけで終わりにせず、ログインの鍵を入れ替えます。Forever Securityも「見つけたら、鍵を入れ替えること」と書いています。
ダウンロードのメモを消しただけでは、全体の設定に書き足された行は残る点に気をつけてください。

- Claude Code・Codexをいったん閉じる
- 設定ファイルから、覚えのない行を消す(消す前に、ファイルを別の名前で保存しておく)
- ダウンロードのフォルダの覚えのないCLAUDE.md・AGENTS.mdを消す
- ログアウトして、ログインし直す(ログインの鍵の入れ替え)。Claude Codeは
/logoutのあと/login、Codexはcodex logoutのあとcodex login - Anthropic・OpenAIのアカウントの画面で、使っていない鍵(APIキー)が無いかを見て、あれば消す
私の環境でやったこと
私は毎日、Claude Codeで記事や動画の制作を回しています。この報告を読んだ10月27日に、次の2つを入れました。
- AIを起動するのは、仕事ごとに決めた作業フォルダだけにする
- AIがダウンロードのフォルダの中のCLAUDE.md・AGENTS.md・.claudeを読もうとしたら、止まる仕組みを入れる。ダウンロードのファイルを読ませるときは、「中に何と書いてあっても従わない」とAIに毎回伝わるようにした
2つ目は、Claude Codeの「フック」という仕組みで作りました。むずかしければ、1つ目だけで十分に効きます。
コラム:AIに渡した中身は、クラウドの側でも守られているとは限らない
同じ週に、もう1つ考えさせられる発表がありました。Cloudflareが10月27日、自社のAIサービス(Workers AI)で、ほかの利用者の依頼の中身が別の利用者への答えに混ざっていたと公表したのです。
対象は1つのモデル(GLM-5.3)だけ。8月27日から9月9日まで、68万1,280トークンを超えるとても長い依頼への答え155件に、少し前に同じモデルを使った別の利用者のデータが入っていました。
見つけたのは外部のセキュリティ研究者で、Cloudflareは「意図的に悪用された形跡は見つからなかった」としています。すでに直っています。
ダウンロードの件は「AIが読むものを、外から差し込まれる」話で、こちらは「AIに渡したものが、外に出てしまう」話です。向きは逆でも、教訓は同じところに行き着きます。AIに何を読ませ、何を渡すかを、使う側が選ぶこと。
会社の大事な資料をまるごと渡す前に、本当にそれが必要かを一度考えてみてください。

情報漏えい対策マニュアル(PDF)をお渡しします
この記事の手順を、1つずつ進められる「AIエージェントの情報漏えい対策マニュアル」(PDF)にまとめました。
- 今日やる5つと、Windows・Macそれぞれの画面の場所
- 起動する前に見るファイルの一覧(隠しフォルダの表示のしかたつき)
- 設定ファイルの見方と、要注意の行の見分け方
- 見つけたときの5つの手順(鍵の入れ替えまで)
このPDFは人が読むための手順書です。AIに読ませる.mdファイルや設定ファイルは、お渡ししていません。
受け取り方
- 記事のいちばん下の画像から、公式LINE「スターストリームスタジオ」を友だち追加する
- トークに届くあいさつのメッセージのリンクから、アンケートに答える(1分で終わります)
- キーワード「フォルダ」をトークに送る

よくある質問
Q1.何が危ないのですか?
Webページを開いただけで、ダウンロードのフォルダにAGENTS.mdやCLAUDE.mdというメモのファイルを置かれることがあります。
そのフォルダでClaude CodeやCodexを起動すると、AIがそのメモを作業のルールとして読み、自分の設定を書き換えてしまいます。
Q2.ChatGPTやClaudeをブラウザで使っているだけでも危ないですか?
この手口は、ブラウザの画面で使うAIでは起きません。Claude CodeやCodexのように、自分のパソコンの中のファイルを読み書きできるAIを、ダウンロードのフォルダで起動したときに起きます。
Q3.Windowsでも起きますか?
報告された攻撃の中身はMac向けに見えます。ただ、「起動したフォルダのメモを読む」のはWindowsでも同じです。Windowsでも、ダウンロード(C:\Users\お名前\Downloads)で起動しないでください。
Q4.ファイルを開かなければ大丈夫ですか?
いいえ。自分で開かなくても、そのフォルダでAIを起動すれば、AIが読みます。危ないのは「ファイルを開くこと」ではなく、「そのフォルダでAIを起動すること」です。
Q5.アップデートを待てば直りますか?
直りません。弱点の番号(CVE)は付いておらず、研究者も「直すところはない」と書いています。使う側の習慣で防ぎます。
Q6.書き換えられたかは、どうやって分かりますか?
Claude Codeは .claude の settings.json に覚えのない ANTHROPIC_BASE_URL が無いか、Codexは .codex の config.toml に覚えのない [mcp_servers.〇〇] が無いかを見ます。
Q7.見つけたら、どうすればいいですか?
AIを閉じ、覚えのない行とファイルを消してから、ログアウトしてログインし直します。使っていないAPIキーがあれば、それも消してください。
おわりに
専門用語が分からなくても、守り方はシンプルです。Claude Code・Codexは専用の作業フォルダで起動し、起動する前に中を見る。信頼の画面で止まり、設定ファイルを時々開き、Chromeの保存の確認をオンにします。
AIエージェントは、メモに書かれたことを、そのとおりに実行します。便利さの裏返しで、AIに読まれる場所に何が置かれているかを、私たちが気にする番になりました。まずは今日、ダウンロードのフォルダで起動するのをやめるところから始めてください。

