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2026.10.09

日経平均はなぜ中東のニュースで下がるのか ― 小学生でもわかる「2本の道」【リヤド空港攻撃から学ぶ】

日経平均はなぜ中東のニュースで下がるのか ― 小学生でもわかる「2本の道」【リヤド空港攻撃から学ぶ】

遠い中東の事件は、「会社のもうけの道」と「金利(お金のレンタル料)の道」の2本を通って、日本の株価に届きます。中東で攻撃が続いて原油が上がるなか、10月8日に日経平均(日本を代表する225社の株価の平均)は993円下がって7万円を割りました。

この2本の道が分かると、新NISA の残高が減った日にも、何が起きたのかを自分で説明できるようになります。

この記事は「こういうことがありました → 今日はこれを学びましょう」の順で進みます。前回の「ガソリン代」の話の続きで、今回は株価の話です。


こういうことがありました ― サウジアラビアの首都の空港が狙われ、日経平均が7万円を割った

10月8日、イエメンで政府と戦っている武装組織「フーシ派」が、サウジアラビアの首都リヤドの空港を弾道ミサイルで攻撃したと発表しました。

サウジアラビアが率いる連合軍(イエメンの政府を応援する国々の軍)は、首都に向けて撃たれたミサイル2発を撃ち落としたと発表しています。

リヤドでは大きな爆発音が聞こえ、各国の外交官は大使館の中で待機し、国際学校では子どもたちを地下に移しました。空港では、多くの便が遅れたり欠航したりしています。

フーシ派はこの週、サウジアラビアの空港を続けて攻撃していて、原油の値段がまた上がっていました。そして10月8日、日本では日経平均株価が前の日より993円安い69,042円で終わり、7万円を割りました。韓国や香港の株も下がりました。

この週に起きたこと。サウジアラビアの空港が続けて狙われ、原油が上がり、日経平均が7万円を割った

遠い国の空港の話と、日本の株価。なぜこの2つがつながるのか、順番に見ていきましょう。


そもそもリヤドはどこにある? ― 石油の国の「東京」です

リヤドは、中東でいちばん大きな国サウジアラビアの首都です。日本でいえば東京にあたります。

中東の地図。サウジアラビアの首都リヤド、イエメン、イラン、日本の位置

地図の色の意味はこうです。

  • サウジアラビア(オレンジ):石油を売ってお金持ちになった国です。日本が使う原油の約4割はここから来ています。黒い点がリヤドです
  • イエメン(赤):サウジアラビアの南どなりの国です。ここにいる「フーシ派」が、ミサイルを撃った側です
  • イラン(灰色):フーシ派を応援している国です
  • 日本(青):くらべるために色を付けました

誰と誰がもめているの?

イエメンでは10年以上、国の中で2つのグループが戦っています。

  • フーシ派:今の政府に反対して、武器を持って戦っているグループです。応援しているのはイランです
  • イエメンの政府:フーシ派と戦っている側です。応援しているのはサウジアラビアです
イエメンの中の争いに、イランとサウジアラビアがそれぞれ味方についている関係図

サウジアラビアとイランは、長く対立してきた国どうしです。フーシ派から見ると、サウジアラビアは戦っている相手の味方なので、その国の空港や石油の施設を狙っている、という関係です。

フーシ派がサウジアラビアの空港を狙うのは、これが初めてではありません。同じ週にはリヤドと南西部のアブハの空港が攻撃され、亡くなった人も出ています。フーシ派は、サウジアラビアの石油施設で働く人たちに、職場を離れるよう呼びかけました。

産油国(石油がたくさんとれる国)の首都が続けて狙われ、「原油の施設も危ないのでは」という心配が強くなりました。国際的な原油の値段(ブレント)は、10月8日に1バレル(約159リットル)約104ドルと、1日で4%ほど上がっています。


日経平均ってなに? ― 日本の代表225社の「平均点」です

日経平均株価は、日本を代表する225社の株の値段をならした数字で、日本の株全体の体温計のように使われます。

日経平均は225社の平均点。何人かの点が下がると平均点も下がる

たとえるなら、クラス225人のテストの平均点です。何人かの点が大きく下がると、クラスの平均点も下がります。

新NISA で人気の「日経平均に連動する投資信託」は、この数字とほぼ同じように上がり下がりします。つまり、日経平均が下がった日は、こうした投資信託を持っている人の残高も減っています。

ニュースでは「993円安」のように円で言われますが、大きさをくらべるときは何%動いたかを見ます。今回は −1.42% でした。1万円分持っていたら、約140円減った計算です。


中東の事件が日本の株価に届く「2本の道」

原油が上がると、「会社のもうけの道」と「金利の道」の2本を通って、日本の株価が下がりやすくなります。

原油高が、会社のもうけの道と金利の道の2本を通って、日本の株価に届く図

1本目:会社のもうけの道 ― 燃料や材料が高くなる

原油は、ガソリンだけでなく、飛行機やトラックの燃料、プラスチックや薬の材料、工場や発電所の燃料にもなります。

原油が上がると、たくさんの会社で「材料費」や「運ぶお金」が増えます。売る値段をすぐには上げられないので、そのぶん会社のもうけが減りそうだ、と考えた人が株を売ります。

株の値段は、その会社がこれからどれだけもうけるかの予想で決まります。もうけが減りそうなら、値段も下がります。

2本目:金利の道 ― ものの値段が上がると、金利が下がりにくい

まずは、2本目の道に出てくる「金利」という言葉から。

金利は、お金を借りるときに払う「レンタル料」の割合です。100万円を金利1%で1年借りたら、1万円のレンタル料を足して返します。反対に、銀行にお金を預けると、銀行からレンタル料をもらえます。これが利息です。

金利はお金のレンタル料。借りると払い、預けるともらえる

金利の高さを動かす大きな役は、中央銀行(国全体のお金の量を調整する銀行)がもっています。日本なら日本銀行、アメリカならFRB(連邦準備制度理事会)です。国全体のお金の流れを見ながら、金利を上げたり下げたりします。

原油が上がると、ガソリン代や電気代、運ぶお金が上がり、いろいろなものの値段も上がっていきます。この状態がインフレです。前は同じお金でパンがたくさん買えたのに、少ししか買えなくなる、ということです。

インフレは同じお金で買えるものが減ること。中央銀行は金利を高めにしてブレーキをかける

インフレが強いとき、中央銀行は金利を高めにしておきます。お金を借りにくくして、買い物や工場づくりの勢いを少しおさえ、値上がりにブレーキをかけるためです。だから、原油高が続きそうなときは「金利がなかなか下がらないかもしれない」と考える人が増えます。

金利が高いままだと、わざわざ値動きのある株を持たなくても、預けておくだけで利息がもらえます。そのため、株にお金が集まりにくくなるのです。


パン屋さんの家で考えると、2本の道は1つの話です

2本の道は、街のパン屋さんの家にたとえると、1つの話として見えてきます。

パン屋さんの家で、小麦粉とガス代が上がり、銀行の利息も気になる様子の図

ある家族が、街でパン屋さんをしています。

ある日、遠い国の事件で原油が上がりました。パンを焼くオーブンのガス代も、小麦粉を運んでくるトラックの代金も上がります。でもパンの値段はすぐには上げられないので、今月のもうけは減りそうです。これが1本目の道です。

さらに、町じゅうでものの値段が上がり、銀行の利息も高いままになりそうです。お店を広げるためにお金を出そうか迷っていた親戚のおじさんは、「それなら銀行に預けておこうかな」と考えます。これが2本目の道です。

株を買うというのは、このおじさんのように「お店にお金を出す」ことです。もうけが減りそうで、銀行の利息も悪くないなら、お店にお金を出したい人は減ります。日本の225社で同じことが起きると、日経平均が下がります。


日本の私たちには ― 新NISA の残高が減った日に、理由が分かる

中東のニュースで株価が下がった日は、「2本の道のどちらが動いたか」を見ると、何が起きたのかが分かります。

10月8日の下げについて、NHKは「原油の先物価格が再び上昇し、国内企業の業績への影響を懸念して多くの銘柄に売り注文が出た」と伝えています。先物とは、先の日付で売り買いする約束の値段のことで、原油の値段の目安によく使われます。

銘柄とは、株を売り買いできる1つ1つの会社のことです。今回おもに動いたのは、1本目の会社のもうけの道です。2本目の金利の道は、原油高が長く続くほど効いてくる道です。

もう1つ知っておきたいのが、日経平均がこの3週間ほどで大きく上がっていたことです。9月半ばには6万3千円台でしたが、10月6日には70,684円まで上がっていました。大きく上がったあとは、「いったん売って、もうけを確定しておこう」という売りも出やすくなります。

これを利益確定といいます。

日経平均の終値(2026年9月14日〜10月8日)。10月6日に70,684円、10月8日に69,042円

ニュースで株価が下がると、「このまま全部なくなるのでは」と不安になります。でも、下がった理由が分かれば、ニュースのたびに慌てずに、落ち着いて考えられます。売るか、持ち続けるかは、一人ひとりの目的によって変わります。

大事なのは、理由が分からないまま、怖さだけで決めないことです。


投資の目線で見ると ― 原油高で、追い風・向かい風になりやすい業種

原油高のニュースを見たら、「原油を売る側か、買う側か」で会社を分けて考えるのが第一歩です。

原油が高くなると、こうなりやすいです。

  • 向かい風:航空会社や運送会社など、燃料をたくさん使う会社です。化学の会社など、原油を材料にする会社も、仕入れが高くなります
  • 追い風:石油や資源を扱う会社です。売っているものの値段が上がるからです
原油が上がると、原油を買う会社には向かい風、売る会社には追い風。こわいときは金にお金が集まる

また、世界が不安になると、お金は「安全な置き場」に逃げやすくなります。その代表が金(ゴールド)で、10月8日も金は少し上がりました。

日経平均は225社の平均なので、追い風の会社も向かい風の会社も入っています。それでも10月8日に全体が下がったのは、国内の会社のもうけへの影響が心配され、多くの銘柄に売り注文が出たからです。

こうした「お金の守り方」の考え方をまとめた資料は、記事の最後に置いておきました。


今日の言葉 ― 「日経平均株価」

日経平均株価は、日本を代表する225社の株の値段をならした数字で、新NISA で多くの人が持っている投資信託の「ものさし」です。

今日の言葉 日経平均株価。7万円のとき1,000円は約1.4%、2万円のとき1,000円は5%。円ではなく%で見る
  • 〇〇円安・〇〇円高:前の日の終わりの値段とくらべて、いくら動いたか
  • 何%動いたか:動きの大きさをくらべるときはこちらを見ます。今回は993円安で −1.42% でした

日経平均が7万円近くになった今、1,000円の動きは約1.4%です。同じ「1,000円安」でも、日経平均が2万円だったころなら5%の大きな下げでした。円の数字だけで驚かず、%で見ると、ニュースの大きさを正しくつかめます。


よくある質問

中東で事件が起きると、なぜ日本の株が下がるのですか

原油が上がるからです。原油高は「会社の燃料・材料が高くなって、もうけが減る」道と、「物価が上がって金利が下がりにくくなり、株にお金が集まりにくくなる」道の2本で、日本の株価に届きます。

日経平均株価とは何ですか

日本を代表する225社の株の値段をならした数字で、日本の株全体の調子を表す体温計のように使われます。新NISA で人気の投資信託の多くも、この数字と一緒に動く仕組みです。

993円安は、どれくらい大きな下げですか

10月8日の993円安は −1.42% でした。日経平均に連動する投資信託を1万円分持っていたら、約140円減った計算です。大きさをくらべるときは、円ではなく%で見ます。

新NISA で日経平均の投資信託を持っています。どう考えればいいですか

まず「何が理由で下がったのか」を知ることです。今回なら、原油の値上がりで国内の会社のもうけが減ると心配されたことが、理由として報じられています。売るか持ち続けるかは目的によって変わるので、理由が分からないまま怖さだけで決めないことが大切です。

金利が高いと、なぜ株は買われにくいのですか

預けておくだけで利息がもらえるなら、わざわざ値動きのある株を持つ人が減るからです。お店にお金を出すより、銀行に預けておこうと考える人が増えるのと同じです。

原油が上がると、どんな業種が困りますか

燃料をたくさん使う航空会社や運送会社、原油を材料にする化学の会社などが困ります。反対に、石油や資源を扱う会社には追い風になります。

フーシ派は、なぜサウジアラビアを攻撃するのですか

イエメンでは10年以上、フーシ派と政府が戦っていて、サウジアラビアは政府側を応援しているからです。フーシ派はイランに応援されていて、サウジアラビアとイランは長く対立してきました。


おわりに ― ニュースは、自分のお金の話です

サウジアラビアの首都への攻撃も、2本の道をたどれば、日本の株価と新NISA の残高の話になります。前回は原油と円の道でガソリン代に、今回は会社のもうけと金利の道で株価に届きました。同じ「原油高」でも、届く先によって道が変わります。

このシリーズのテーマは、世界で起きたことを1つずつ取り上げて、小学生でもわかる言葉で「今日はこれを学びましょう」と読み解くことです。

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筆者:株式会社スターストリーム・スタジオ 代表 清水 昴

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