LINEのステップ配信は、月額ツールを契約して管理画面をポチポチ設定するものだけではなくなりました。
使うのは、LINE Harness(ラインハーネス)というオープンソースの配信基盤です。これとAIを組み合わせると、ツールの月額利用料は0円のまま、配信の流れ(ファネル)はAIに話すだけで組めました。
この記事では、LINEハーネスを自分用に用意するところから始めます。「LINE公式アカウントの準備 → 開通 → 仕上げの設定 → AIにつなぐ → 話して組む → 届くか確かめる → 数字を取る」の7ステップを、実際の画面を出しながら順に追います。
手を動かすのはLINE側の設定だけで、サーバーの知識は要りません。後半では、セミナー録画を毎日開催のライブに変える自動ウェビナーも扱います。
前提:削れるのは「ツールの月額利用料」だけです
LINE配信の費用は「ツールの月額利用料」と「LINE社への配信料」の2階建てで、削れる余地があるのは前者だけです。
ステップ配信・タグ管理・流入分析といった機能を使うために、月数千円から数万円のツール代を払っている方は多いはずです。一方で、メッセージ配信そのものの料金は、どのツールを使ってもLINE公式アカウント側の課金。つまり、どんな構成にしても配信料は残り、構成しだいで変わるのはツールの利用料だけです。
ここ1〜2年で現実的になったのが、オープンソースの配信基盤を使う構成です。LINEハーネスはその1つで、使い方は2通りあります。自分のサーバーに置く方法(無料。ただし黒い画面でのコマンド操作が要る)と、作者が運営するクラウド版(0円・ブラウザだけで開通)です。
この記事はクラウド版で進めます。「設定が大変そう」の部分は、開通も配信の設計もAIが引き受けるので、人がやるのは3か所だけでした。
STEP 1 LINE公式アカウントを作り、3つの値を取る
用意するのは「チャネルID・チャネルシークレット・チャネルアクセストークン」の3つ。すべてLINE公式アカウントの管理画面から取れます。
最初に、テスト用のLINE公式アカウントを新規で作ります(無料プランで始められます)。いま顧客リストが入っている本番のアカウントは使いません。理由は記事の後半「乗り換えるべき人、今のままでいい人」で説明します。
管理画面(LINE Official Account Manager)に入ったら、順にこう進めます。
- 「設定 → 応答設定」で、チャット・あいさつメッセージ・応答メッセージをすべてオフにする(配信基盤側が返事をするので、二重に返さないため)
- 「設定 → Messaging API」で「Messaging APIを利用する」を押し、プロバイダーを作る(名前は何でも構いません)
- 表示された「Channel ID」と「Channel secret」を控える
- 「LINE Developersコンソール」のリンクから同じチャネルを開き、「Messaging API設定」タブで「チャネルアクセストークン(長期)」を発行して控える

ボタンが押せないときは、ブラウザの表示をスマホ幅にすると押せることがあります。公式アカウントはいくつでも作れるので、失敗したら作り直せば済む話でした。
STEP 2 LINEハーネスを開通させる(Googleでログインして、3つの値を貼る)
申し込みはGoogleログインだけ。カード登録はなく、3つの値を貼ると数分で自分専用の環境ができます。
クラウド版の入口は「The Harness Cloud」のLINEのページです。「Googleで始める」を押し、メールアドレスを確認すると、次の画面でSTEP 1で控えた3つの値を聞かれます。貼って送ると、専用のサーバーとデータベースが自動で組み立てられます。

2026年9月時点で先着300名までが0円で、公開ページには「この先ずっと0円」「あとから月額を請求しない」と書かれています。友だち数やログの保持期間に将来上限が付く可能性だけは明記されているので、そこは頭に入れておいてください。
開通すると管理画面が開き、あわせて「開通しました」のメールが届きます。このメールはSTEP 4で使うので消さないでください。
STEP 3 仕上げの設定:ログインチャネルと、最後のスイッチ3つ
開通後に手を動かすのはここだけ。「LINEログインチャネルの2つの値」と「スイッチ3つ」で終わりです。
管理画面の左メニューに「LIFF設定」があります。ここを済ませないと、友だち追加リンク・フォーム・ウェビナーが動かず、誰がどこまで読んだかの記録も取れません。画面に手順が書いてあるので、そのとおりに進めます。
- LINE Developersコンソールで、STEP 1と同じプロバイダーの中に「LINEログイン」の種類でチャネルをもう1つ作る
- そのチャネルの「チャネルID」と「チャネルシークレット」の2つを、LIFF設定の画面に貼る(LIFFアプリの作成とURLの設定は自動で行われます)
- 画面に表示された「コールバックURL」をコピーし、LINEログインチャネルの「LINEログイン設定」に登録する

最後に、LINE公式アカウント側でスイッチを3つ入れます。この3か所は、どの配信ツールを使っても通る道です。
- Messaging API設定の「Webhookの利用」をオンにする
- LINEログインチャネルの「友だち追加オプション」で、自分の公式アカウントを選んで更新する
- コールバックURLが登録されているか、もう一度確かめる
初めての人がほぼ確実に止まるのはこの3か所です。80人が同時に開通作業をした講義でも、止まった場所はここに集中していました。症状はそれぞれ決まっています。
- Webhookがオフ → 友だちの反応を何も受け取れない
- 友だち追加オプションが未設定 → ログインしても公式アカウントに紐づかない
- コールバックURL忘れ → 友だち追加のリンクがエラーになる
いま使っているツールで「なぜか動かない」ときも、見る場所はこの3か所から変わりません。
STEP 4 AIにつなぐ(開通メールの1行を貼るだけ)
AIエージェントとの接続は、メールに書かれた1行をコピーして貼るだけです。
STEP 2で届いた開通メールの下のほうに「AIエージェントに接続する」という項目があります。Claude Codeなら、そこに書かれた1行のコマンドをそのまま貼って実行します。Codexの場合も同じ内容が、貼る形で載っています。

1つだけ注意があります。貼ったあと、AIエージェントを一度再起動してください。接続の設定は起動時に読み込まれるので、同じ画面のまま話しかけても何も起きません。再起動すれば、以降はAIが自分のLINEハーネスを直接操作できるようになります。
STEP 5 AIに話しかけて、シナリオ・タグ・計測リンクを組む
AIエージェントに日本語で話しかけると、シナリオ・タグ・計測リンクの一式が組み上がります。
接続が済んだら、あとはAIに話すだけです。管理画面を開いて設定項目を探す必要はなく、たとえばこんな頼み方がそのまま通る形です。
「友だち追加した人にお礼を送って、3回に分けてチェックリストを届けて。最後の回には相談案内のリンクを付けて、クリックした人にタグを付けておいて」
下の画像は、AIが人材紹介向けのファネル一式(シナリオ2本・フォーム2本・自動応答1本)を組み終えて、何を作ったかを報告している実演の画面です(アカウント情報と画面内の名称はぼかしています)。

シナリオの分岐設計だけでなく、「フォーム送信直後は処理が同時に走るので、分岐の初手に1分の遅延を入れてズレを避けました」という実装上の配慮まで、AIが自分で判断して報告しています。
こちらの環境でも同じことを試したところ、タグ2つ・あいさつメッセージ・3ステップのシナリオ・計測リンク・流入リンクの合計5部品が、話しかけてから1分足らずで出来上がりました(2026年8月・自社実測)。管理画面の使い方を覚える時間が、そのまま不要になった計算です。
STEP 6 実際に届くか確かめる(時刻は少しズレます)
画面上の設定ではなく、友だちのトーク画面に実物が届きます。
下の画像は、組み上がったファネルが実際にLINEへ配信された画面です。カルーセル(横にめくれるカード)が届き、ボタンを押すと自動で次の案内が返ってきています。

1つだけ、知らないと焦るポイントがあります。ステップ配信は、指定時刻きっかりには届かないことがあります。迷惑配信とみなされないよう配信時刻を数分ずらす仕組みは、多くの配信ツールに入っています。テスト中に「届かない、壊れた」と思ったら、まず10〜15分待ってみてください。
STEP 7 数字が取れる形にしておく(リンクは2種類に分ける)
流入経路ごと・リンクごとに数字が取れる形にしておくと、配信は出しっぱなしにならず、改善のループが回ります。
計測の要点は、リンクを2種類に分けることです。これもツールを問わない共通の考え方です。
- 外に貼るリンク(X・Instagram・広告・ブログ用)→ どの経路から友だちが増えたかを測る
- LINEの中に貼るリンク → 配信の中のどのボタンが押されたかを測る
さらに流入先をイベントやキャンペーン単位で分けておくと、あとから「あの施策で何人増えたか」を追えます。下の画像は、流入先を目的別に分けて管理している実際の画面です(アカウント名はぼかしています)。

クリックした人に自動でタグが付くので、「相談案内を押した人だけに次の案内を送る」という絞り込みもそのまま組めます。登録が増えた経路に集中する、押されないボタンの文面を変える──月額ツールで払っていた機能の中身は、この2つの計測とタグ付けでほぼ説明がつきます。
応用 セミナー動画があるなら、自動ウェビナーもAIに任せる
録画を「毎日決まった時刻に流れるライブ」に変えて、見た人の行動をそのままタグにする。これもLINEハーネスに入っています。
自動ウェビナーは、たとえば90分のセミナー録画を毎日12時と20時に流す仕組みです。1回作れば毎日勝手に開催され、その間に自分が何かをする必要はありません。ステップ配信の途中に「セミナーの案内 → 視聴 → 相談フォーム」を差し込めるので、配信の出口として使えます。
作り方は、ここまでと同じでAIに頼むだけです。「この動画で自動ウェビナーを作って」と話しかけると、AIが動画を6秒ごとのブロックに分け、画質を3段階に変換してアップロードまで済ませます。講義では90分の動画が数秒で配信形式に変わっていました。
ライブに見える理由は、この6秒ブロックにあります。視聴者は今の位置の6秒ぶんしか受け取らないので、早送りも巻き戻しもできません。途中から入った人は、その時刻の正しい位置から始まります。
取れる数字は、ステップ配信より細かくなります。動画を見た・案内ボタンを押した・コメントした・予約した、という行動の1つ1つに自動でタグが付き、たとえば55分の地点で申し込みボタンを出す、85分でクロージングの案内を出す、という演出を毎回同じタイミングで繰り返せます。
下の画像は、ウェビナーの管理画面です。予約者のうち何割が参加したか、9割以上見た人が何人か、申し込みボタンの表示からフォーム送信までどこで人が減ったかが、1画面で追えます(数値と参加者の情報はぼかしています)。

1つだけ、表示の言葉に注意してください。録画を「ライブ」と書いて流すと、事実と違う表示になります。「開催中」のような、録画でも嘘にならない言い方を選んでください。コメント欄を演出する機能もありますが、実在しない参加者の発言を出すのは景品表示法の論点になるので、この記事では扱いません。
乗り換えるべき人、今のままでいい人
判断の軸は2つ。「いくら払っていて何を使っているか」と「LINE公式アカウントが認証済みか」です。
まず費用と機能から。月額が数千円で、使っている機能が配信とタグ付けだけなら、急いで乗り換える理由はありません。手間をかけて0円にするより、今の運用を続けるほうが結果的に安く済むこともあります。
一方、月に数万円払っていて、シナリオの分岐や流入計測まで使っているなら、自前の構成に置き換える価値があります。この記事で見せた画面の機能で、その範囲はほぼ覆える計算です。
もう1つの軸が、アカウントの状態です。配信ツールを差し替えると、未認証のLINE公式アカウントでは、既存の友だちが新しいツール側から一時的に見えなくなります(友だちから何か1回反応があるまで認識されません)。認証済み(青バッジ)のアカウントならユーザーIDを引き継げるので、そのまま引っ越しが可能です。
だから未認証のまま乗り換えるなら、リストが動くタイミング──次のキャンペーンや新しい特典の配布に合わせるのが定石です。静かな時期に差し替えると、友だちが「見えない」まま復活の機会がありません。STEP 1で「テスト用のアカウントを新規で作る」と書いた理由も、ここにあります。
- 今のままでいい人: 月額が数千円で、配信とタグ付けしか使っていない
- 乗り換えを検討したい人: 月額が数万円で、分岐や計測まで使っている。認証済みなら時期を選ばず、未認証なら次のキャンペーンに合わせて
よくある質問
LINEハーネス(LINE Harness)とは何ですか?
LINEのステップ配信・タグ・リッチメニューなどを自前で動かせる、オープンソースの配信基盤です。ツールとしての月額利用料がかからないかわりに、動かす場所(サーバー)の用意と初期設定を自分で持ちます。
作者が運営するクラウド版を使えば、サーバーの用意は不要です。LINE社へのメッセージ配信料は、どの構成でも別にかかります。この記事の画面はこの基盤で組んだものですが、考え方はほかの配信ツールでも同じです。
パソコンに何かインストールする必要はありますか?
クラウド版なら、LINEハーネス自体のインストールは要りません。ブラウザでGoogleログインすれば管理画面が開きます。必要なのは、AIエージェント(Claude CodeやCodex)を手元で動かせる環境だけです。
月額ツールと自前の構成で、費用はどれくらい変わりますか?
削れるのはツールの月額利用料(数千円〜数万円)です。オープンソースの基盤なら利用料は0円で、かわりに初期設定と運用の手間を自分で持ちます。なお、LINE社へのメッセージ配信料はどの構成でも残ります。
ステップ配信が届かないときは、どこを確認すればいいですか?
まず10〜15分待ってください。配信時刻を意図的にずらす仕組みが入っているツールが多いためです。それでも届かない場合は、Webhookがオンか、シナリオの起動条件(タグや友だち追加)が実際に発火しているかを見てください。
「AIに話すだけ」とは、実際には何をするのですか?
チャットの画面に、やりたい配信の流れを普段の言葉で書くだけです。音声入力を使えば、文字どおり話すだけでも通ります。設定項目の名前や専門用語を知っている必要はありません。「友だち追加した人に3回に分けて届けて」のような言い方でそのまま通じる形です。
導入や乗り換えを頼めるのはどこですか?
頼む先を選ぶ基準は3つ。(1)作って渡すだけでなく、計測とタグ設計まで運用の形で残してくれるか。(2)LINEに限らず予約・顧客管理など前後の業務までつなげられるか。
(3)小さく試してから広げられるか。株式会社スターストリーム・スタジオでは、LINE連携(予約・自動応答・ステップ配信)を含む業務ツールの導入を、最初の1本は制作からお試しまで0円で代行しています。
毎月のツール代を前提から見直したい方は、いまの配信の構成を伺うところからで大丈夫です。
→ AI顧問&開発サービスの詳細はこちら https://sss-ai-komon-lp.pages.dev/
(出典について: 記事中の実演デモの画面は、オープンソース配信基盤 LINE Harness の開発者の講義でのデモを、アカウント情報や画面内の名称をぼかした上で引用しています。申し込みページの画面は2026年9月時点の公開ページです。手順・数値は2026年8〜9月時点の自社実測と公開情報にもとづきます。)
