2026年10月24日(土)
おはようございます。清水です。SSSニュースレターの3号目をお届けします。
今号から、並べ方を少し変えました。AIで実際に作ってみた話は「作る現場から」、講師を務める場で教えた話は「教えている現場から」、毎日書いている世界のニュースは「世界のニュースから」として、それぞれ独立したコーナーにしています。
今号は、APIキーを1本も使わずに作ったAIのショート動画、AIにコピーした人格が本人らしく答えるかを確かめたテスト、日経平均が1週間で約5%下がった週の読み方など、今号の7本をお届けします。最後には、今号の記事で使った道具のプレゼントも用意しました。
今号の目次

- 作る現場から:AI動画に、APIキーはいらない
- 作る現場から:広告動画の型を、自分のパソコンのAIで再現している
- 教えている現場から:AIにコピーした人格は、本人らしく答えたか
- 教えている現場から:感情を動かす「25の道具」の使い分け
- 世界のニュースから:日経平均が1週間で約5%下がった週
- 今号のAIニュース3本
- 制作の裏側:「誰が何をするか」が分からない言葉を、機械で止める
作る現場から
1. AI動画に、APIキーはいらない ― 追加料金0円で80秒のショート
AIで動画を作る方法を調べると、たいていAPIキーの取り方と料金の話から始まります。1本ごとにお金がかかるなら、毎日は続けられません。
けれど、いま多くの人が契約している ChatGPT と Gemini には、ブラウザの画面から画像と動画を作る機能が最初から入っています。足りなかったのは、それを順番に動かして1本にまとめる「進行役」でした。

進行役を Claude Code に任せた流れは、次のとおりです。
- Claude Code で物語と、画像・動画の指示文を書く
- Chrome DevTools MCP で ChatGPT を動かして絵を、Gemini を動かして動画を作る
- 読み上げは無料の AivisSpeech、組み立ては Remotion
こうして、APIキー0本・追加料金0円で、16場面・約80秒のショート動画ができました。動画にしたのは見せ場の5場面だけで、残りの絵にはゆっくり寄る・揺れるの動きを付けています。
2. 広告動画の型を、自分のパソコンのAIで再現している
もう1つ、作っている途中のものがあります。広告でよく見る動画の型5つ(受講生インタビュー・体験レビュー・3つのこと・寸劇・ランキング)を、自分のパソコンで動く動画のAI「MiniMax H3」で再現しています。

パソコンの中で動くので、API代は0円、作れる本数にも上限がありません。そのぶん、仕上げは1本ずつ見本と並べて詰めています。
- 声:人物の年齢と雰囲気に合う声を3つ選び、聞き比べて決める
- BGM:見本の動画から声を抜いて残った音を調べ、近い曲を機械で3曲に絞る
- 音量:見本の「声とBGMの差」を測り、それより少し控えめにそろえる
いまは5本のうち2本が仕上がったところです。5本がそろったら、作り方と導入の手順をまとめて公開する予定です。
教えている現場から
3. AIにコピーした人格は、本人らしく答えたか
前号で予告していたテストの結果です。講師を務めるAIエージェントのスクールで、著名な経営者の発言を集めてAIに持たせた「分身」が、本当に本人らしく答えるのかを確かめました。

1回目は、分身が129点、何も持たせていないAIが140点(228点満点)。分身が負けました。原因は3つです。
- 本人の決まり文句を、毎回の答えに入れてしまった
- 用心深い言い方が多すぎて、言い切りが消えた
- 失敗ではない場面でも謝っていた
そこで、本人の発言20本を数え直しました。すると、分身が毎回入れていた「答えになりましたか」は、本人の発言では0回でした。答えの約2割は100字未満と、本人は短く言い切っていました。
数えた結果で直した2回目は、直した分身が113.5点、直す前が102.5点、何も持たせていないAIが96.5点で1位になりました。採点は、どれが分身か分からないように伏せ、2人で別々に付けています。
人格をコピーするときは、口癖を盛るより、本人の発言を数えて合わせるほうが、本人に近づきます。
4. 感情を動かす「25の道具」は、覚えなくていい
毎朝オンラインで開いているコピーライティングの勉強会で、3日かけて感情トリガー25個を扱いました。どういう言葉・どういう方法を使えば人の気持ちが動くか、をまとめた道具箱です。

25個は、覚えなくて大丈夫です。書く場面ごとに2〜3個を選んで使うと、書く助けになります。場面で分けると、こうなります。
- 読ませる(タイトル・冒頭):意外・ニュース・具体性・期待
- 信じさせる(本文の証拠):根拠・権威性・社会的証明・ストーリー
- 行動させる(最後のひと押し):理由・希少性・保証・シンプル
- 関係をつくる(続けて書くとき):共感・好意・返報性・一貫性
中でも大事なのが「理由」です。人に動いてもらうときは、必ず理由を添えます。値下げにも、限定にも、無料にも理由を付けます。理由があるだけで、人は動きやすくなるからです。
世界のニュースから
5. 日経平均が1週間で約5%下がった週 ― 「みんなの心配」の数字を見る
日経平均は、10月9日の69,030.92円から10月16日の65,324.29円へ、1週間で約5%下がりました。

1週間の出来事を順に並べると、1本の流れになります。
- 10月13日:韓国の株価指数が1日で5.46%下がる。中国の会社が「年末に新しいメモリーを出す」と言ったことがきっかけの1つ
- 10月14日:アメリカの9月の物価が、1年前より3.7%上がったと発表される
- 10月15日:日経平均が4.90%下がる。物価が上がると金利が下がりにくくなり、遠い先のもうけに期待されている株ほど売られやすくなる
- 10月16日:アメリカで、借金でAIの設備を作る会社への不安が広がり、恐怖指数(VIX)が16.46から19.99へ上がる
恐怖指数は、「この先、株が大きく動きそうだ」というみんなの心配の大きさを表す数字です。目安は、10〜20がふだん、30を超えると警戒。いまの19.99は、ふだんの範囲の上の端です。
アメリカの市場は日本の夜に開くので、週末に恐怖指数を1つ見ておくと、月曜の東京の空気を前もって知ることができます。
前号で予告していた、オルカンとAIに集まるお金の回は、動画でも見られるようになりました。
AIニュース
6. 今号のAIニュース3本 ― 「会社の持ち方」「AIの部品」「買い物」
① Anthropic が、自社の株の5%を公益のための基金に(10月18日)
Claude を作っている Anthropic が、新しく作る「Anthropic Public Benefit Fund」に、自社の株の5%を出すと発表しました。会社の価値が上がるほど、基金の持ち分も増える仕組みです(株主の承認が前提)。
Claude の機能や料金が変わる話ではありませんが、AIの会社がもうけをどう社会に回すかを考える材料になります。
② Microsoft が、自社で作るAIの部品「Maia」を大きく広げる(10月12日)
Copilot はすでに、Microsoft が自分で設計した部品「Maia 200」の上で動いています。Maia 200 は、主流の部品にくらべて、同じ電気で最大1.7倍の計算ができるとされています。2027年からは、さらに大きな規模で使い始める予定です。
③ Google が、検索と Gemini で複数の店の商品を1つのカートに(10月15日・アメリカ)
Google 検索と Gemini アプリで、別々の店の商品を1つのカートにまとめて買えるようになりました。値下げや再入荷の通知も届きます。いまはアメリカだけですが、ネットで物を買う入口が、AIの画面に移り始めている動きです。
もう1つ、大きな発表がありました
- Google が新しい主力モデル「Gemini 4 Argon」を一般提供(10月13日):Gemini アプリでは、有料プラン(AI Pro・Ultra)から使えます。開発者向けの API と、検索の AI モードにも入りました
制作の裏側
7. 「誰が何をするか」が分からない言葉を、機械で止める
世界のニュースの記事で、「お金が集まる道」と「引きあげる合図」という言葉を対にして使ったことがありました。読み返すと、「引きあげる合図」は、誰が何をするのかが分かりません。しかも実際に起きたのは、投資家が株を思ったほど買わなかった、ということでした。入れたお金を抜く「引きあげる」とは違います。

そこで、「お金を出す人がためらう合図」に全部言い換えました。直したのは言葉だけではありません。
- 人でないもの(お金・市場・株価)に、人の動きをさせない(✕ お金がためらう)
- 短い言葉だけで「誰が・何をする」が分かる形にする
- 記事や台本を書くと、こうした言い方を機械が見つけて知らせるようにした
一方で、「お金が集まる」「株価が上がる」のように、お金や数字が自然に動く言い方は使って大丈夫です。言葉は、起きたことを1文で書いてから作る。この順番を守ると、読む人が迷わなくなります。
清水のひとこと
今号の「作る現場から」の2本は、どちらも AIに、いつもの画面を操作してもらう話でした。
私は、ブラウザの操作を覚えると、AIでできることが一気に広がると考えています。APIが用意されていないサービスでも、人が画面でやっている「開く・打つ・待つ・保存する」をAIに任せれば、動かせるからです。APIキーを取って料金を払う前に、まずはいつもの画面でできないか考えてみてください。
もう1つ、記事を書くときに大事にしていることがあります。やり方の記事は、その記事の中で手順を書き切ることです。「詳しくは別の記事で」で済ませず、1本の記事で1つ、持ち帰れるものを渡します。ショート動画の記事も、読んだその日に同じ流れで1本作れるように書きました。
次号の予告
- 作る現場から:広告動画の型5つを再現した記事と、自分のパソコンで動画のAIを動かす導入の手順書
- 教えている現場から:私自身の発言を集めた分身が、本当に私らしく答えるのか。似ているかを確かめた結果
- 世界のニュースから:記事で読んだ「この先」が当たったのかを、数字で答え合わせします
今号のプレゼント
今号の話に関係する道具を、まとめてお渡しします。登録などは要りません。リンク先からそのまま受け取れます。
今号の記事とつながるもの
- AIショート動画キット:1本目のAIショート動画を、APIキーなしで作るための一式
これまでのプレゼント(中身は、それぞれの受け取りページで見られます)
- ショート動画作成キット
- 個人情報漏えいから自分を守る チェックリスト
- コピーの型ナレッジ ひな形キット
- 声で話せる相談役キット
- Jev 完全版マニュアル
- Jevを今日から使う 導入手順書
- Claude Code 画像生成 接続キット
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。感想や「これを取り上げてほしい」があれば、メールに返信してください。全部読んでいます。また来週の土曜の朝に。
清水 昴