お問い合わせ 無料体験
2026.10.22

高市政権の1年で、株とお金はどう動いた? ― 就任のころの予想を数字で答え合わせしたら、逆になったものもあった

高市政権の1年で、株とお金はどう動いた? ― 就任のころの予想を数字で答え合わせしたら、逆になったものもあった

高市政権は、10月21日で発足から1年がたちました。高市さんが総理大臣になって、日本の経済やお金の動きは、実際にどう変わったのでしょうか。日経平均(日本の大きな会社225社の株の値段をまとめた数字)は、就任の前の日の49,185円から、ちょうど1年後の64,075円へ、約3割上がりました。

1年前、高市さんが自民党の総裁に選ばれたころ、株の世界ではいろいろな予想が飛びかいました。「株が上がる」「円が安くなる」「この業種が追い風を受ける」。今日は、そのころ言われていたことを1つずつ取り出して、1年後の数字で答え合わせをしていきます。

予想どおりになったものもあれば、反対に動いたものもありました。


こういうことがありました ― 高市政権の1年を、年表でふり返る

高市さんは、2025年10月21日に第104代の総理大臣になりました。日本で初めての女性の総理大臣です。

高市政権の1年の年表。就任、日米首脳会談、中国との関係、総選挙、日銀の利上げ、成長戦略

時間の順番に、お金に関係が深い出来事を並べると、こうなります。

  • 2025年10月4日:高市さんが自民党の総裁選挙で勝ちました
  • 10月21日:総理大臣に選ばれました。前の日に、自民党と日本維新の会が連立(いくつかの政党が組んで政府をつくること)で合意しています
  • 10月24日:国会で、これからの方針を話す演説(所信表明演説)をしました。「責任ある積極財政」「経済あっての財政」という言葉を使い、防衛費(国を守るためのお金)を国の経済の大きさの2%の水準まで、予定より早く増やすと話しました
  • 10月27日:日経平均が、初めて5万円を超えました(終値50,512円)
  • 10月28日:アメリカのトランプ大統領と会い、レアアース(スマホや電気自動車に欠かせない、とり出すのがむずかしい金属)などを確保する文書と、5,500億ドル(約84兆円)の日本からアメリカへの投資を進める文書に、2人で署名しました
  • 11月7日:国会で、台湾で争いが起きたときの日本の対応について答えました。中国はこの答えに強く反発しました
  • 11月14日:中国の外務省(外国とのやりとりを受け持つ役所)が、中国の人たちに日本へ行くのを控えるよう呼びかけました
  • 11月21日:物価の高さへの対策などをまとめた経済対策を決めました。国が出すお金などは21.3兆円です
  • 2026年2月8日:衆議院の選挙(総選挙)があり、自民党は465の議席のうち316をとりました
  • 6月:日本銀行(日本のお金の量や金利のもとを決める銀行。日銀)が、政策金利(日銀が決める、金利のもとになる数字)を1.0%に上げました。9月には1.25%程度まで上げています
  • 7月21日:これから国がお金を入れて育てる17の分野(AI・半導体、造船、宇宙など)をまとめた「日本成長戦略」を決めました

高市政権の1年は、「国がお金を積極的に使う」という方針と、「金利が上がっていく」流れが、同時に進んだ1年でした。


就任のころ、何が言われていたのか ― 「高市トレード」

総裁選のあとの月曜日、2025年10月6日に、日経平均は1日で約4.7%上がり、初めて4万7000円を超えました。株が上がり、円が安くなり、国債(国がお金を借りるときに出す借用書)の金利が上がる。この3つが同時に進む動きは「高市トレード」と呼ばれました。

高市トレード=株が上がる・円が安くなる・国債の金利が上がる、の3つが同時に起きた

なぜ、こんな動きになったのでしょうか。そのころの報道をまとめると、理由は3つあります。

  • 1つ目:国がお金を使う政策が、株にはうれしいと受け止められた。積極財政(国がお金を多く使って経済を元気にする考え方)は、会社のもうけを押し上げると見る投資家がいました。ロイター通信は、運用会社の人が「市場は歓迎するが、少数与党なので実現できるかは不確か」と話した、と伝えています
  • 2つ目:日銀の利上げ(金利を上げること)が遅れる、と見られた。金利が低いままだと、円を持っていてもつく利息(お金を貸したお礼に上乗せしてもらうお金)が少ないので、円が売られやすくなります。ロイターによると、12月までに日銀が利上げをする確率は、市場の見方で68%から41%に下がりました
  • 3つ目:国の借金が増える、と心配された。国がお金を多く使うには、国債を多く出して借りることになります。借金が増えそうだと、国債を買う人が「もっと利息をつけてくれないと」と考え、国債の金利が上がります

業種では、防衛の会社の株が大きく上がりました。防衛の大手のある会社は、この日1日で約13%上がっています。そのほか、原子力・電力、半導体の会社の株も買われたと報じられました。反対に、銀行の株は、東京証券取引所の33の業種の中でただ1つ下がりました。

利上げが遅れると、銀行の「貸すときの金利と、預かるときの金利の差(利ざや)」が小さくなる、と見られたからです。

翌日の10月7日には、日経平均は初めて4万8000円台になりました。証券会社の解説は、その理由に「ご祝儀相場」「初の女性総裁という意外感」「変わる日本への期待」を挙げています。

新しいリーダーへの期待だけで先に買われる「ご祝儀相場」は、このあとの答え合わせでも大事になる言葉です(最後の「今日の言葉」でくわしく見ます)。


答え合わせ① 予想どおりに進んだもの ― 株・円・金利・半導体

就任の前の日(2025年10月20日)と、ちょうど1年後(2026年10月20日)の数字で答え合わせをすると、高市トレードの3つ(株が上がる・円が安くなる・金利が上がる)は、予想どおりの方向に進みました。

日経平均の1年。就任の前の日から1年で約3割上がり、いちばん高かったのは6月

まず、株です。日経平均は49,185円から64,075円へ、約30.3%上がりました。

  • 総選挙の次の日(2026年2月9日)には、終値で56,364円まで上がりました
  • いちばん高かったのは6月25日の72,366円です
  • そこから1年後の64,075円までは、約11%下がっています(64,075÷72,366−1)

つまり、1年を通して見ると大きく上がりましたが、いちばん高いところからは少し下がって1年を迎えた、ということです。

1ドルは何円? 数字が大きいほど円安。1年で約7.6円の円安になった

次に、円です。1ドルと交換するのに要る円は、150.90円から158.52円になりました。約7.6円の円安(円の値打ちが下がること)です。7月29日には163.86円まで円安が進みました。

国にお金を貸すときの金利(国債の利回り)の1年。10年と30年が、どちらも上がった

そして、金利です。10年の国債の金利は、1.676%から2.927%へ上がりました。30年の国債の金利は、財務省の数字で10月6日に4.168%と、この1年でいちばん高くなっています。

業種では、半導体の大手2社の株が、平均で約77%上がりました。就任のころに買われた業種のうち、1年でいちばん大きく上がったのは半導体です。ただし、半導体の株は、世界中のAIへのお金の流れでも大きく動きます。

1年の上がり方を、全部政策のおかげと言い切ることはできません。

復習:国債の金利とは

第10回では、国債は国がお金を借りるときに出す借用書で、きちんと返してもらえるかを心配する人が増えると国債を手放す人が増え、国がお金を借りるときの金利が上がる、という話を見ました。

国債は、国がお金を借りるときに出す借用書。心配されると、借りるときの金利が上がる

家の中がもめている友だちには、「もっと利息をつけてくれないと貸さない」と思うのと同じです。日本の国債の金利が1年で上がったのも、国がお金を多く使う方針と、日銀の利上げが重なったためです。くわしく知りたい方は、こちらからどうぞ。

前の回の記事

答え合わせ② 予想と違う動きをしたもの ― 防衛・銀行・中国関係の株

一方で、就任のころの予想と、1年後の数字が合わなかったものもあります。防衛の株は1年で下がり、銀行の株は大きく上がり、中国との関係で一度大きく下がった株は、1年後には上がっていました。

就任の前の日から1年で、どれだけ上がった?下がった? 半導体・銀行は大きく上がり、防衛は下がった

防衛の株は、就任の前に上がっていた

防衛の大手3社の株は、就任の前の日から1年後までで、平均で約6.3%下がりました。3社のうち2社が下がり、1社は上がっています。

ここで、就任の前の日より前を見てみます。総裁選の前(2025年10月3日)から就任の前の日までの、わずか2週間ほどで、3社の株は平均で約13.7%上がっていました。つまり、防衛の株は、高市さんが総理大臣になる前に、期待で先に買われていた、ということです。

防衛の大手のある会社の株は、総裁選の前の3,690円と、1年後の3,685円で、ほぼ同じ値段に戻っています。1年の下がり方の理由をはっきり書いた報道は、見つかっていません。

銀行の株は、反対に大きく上がった

就任のころ、ただ1つ下がった業種だった銀行の株は、大手の1社で1年に約44.1%上がりました。

「利上げが遅れる」という見方とは反対に、日銀はこの1年で利上げを重ね、6月には政策金利が1.0%、9月には1.25%程度になりました。利上げが遅れると銀行の利ざやが小さくなる、という見方が就任のころにありました。

つまり、その反対に利上げが進めば、銀行にとっては追い風になりやすい、ということです。

復習:日銀のアクセルとブレーキ

第4回では、中央銀行(日本では日銀)は、景気が冷えたら金利を下げるアクセル、物価が上がりすぎそうなら金利を上げるブレーキを踏む、という話を見ました。

中央銀行は、景気が冷えたら金利を下げるアクセル、物価が上がりすぎそうなら金利を上げるブレーキを踏む

この1年の日本は、物価が上がるなかで、日銀が少しずつブレーキ(利上げ)を踏んできた1年でした。くわしく知りたい方は、こちらからどうぞ。

前の回の記事

中国との関係で下がった株は、1年後には上がっていた

中国の外務省が日本への旅行を控えるよう呼びかけたあと、週明けの2025年11月17日に、百貨店の大手の株は1日で約11%、化粧品の大手の株は約9%下がりました。中国からの旅行者が減るのでは、と心配されたためです。

ところが、1年後の数字では、百貨店・化粧品の3社の株は、就任の前の日より平均で約31.0%高くなっていました。航空の2社は、平均で約0.3%と、ほとんど動いていません。1日の大きな下げが、そのまま1年の結果になったわけではなかった、ということです。

予想と違う動きを、文化祭の屋台にたとえると

上の説明(最初の値動きは期待で決まり、1年たつと会社のもうけなどの中身で決まる)を、文化祭の屋台にたとえてみます。

文化祭の朝は前評判で行列ができる。夕方まで売れ続けるのは、味がよかった屋台

文化祭の前の日、「3組の焼きそばがすごいらしい」といううわさが広がりました。当日の朝、3組の前には長い行列ができます。でも、お昼をすぎると、行列は少しずつ短くなっていきました。

反対に、朝はだれも並んでいなかった5組のクレープは、食べた人の口コミで、夕方まで売れ続けました。

たとえの中のものと、本文の話の対応は次のとおりです。

  • 文化祭の前の日のうわさが、就任のころの予想(高市トレード)にあたります
  • 朝の長い行列が、総裁選のあとすぐに防衛の株が買われたことにあたります
  • 夕方まで売れ続けたクレープが、利上げが進んで1年で大きく上がった銀行の株にあたります
  • 1日を通して売れたかどうかが、1年たったときの、会社のもうけや金利といった中身にあたります

日本の私たちには ― 円安と金利の上がり方が、くらしに届く

高市政権の1年で進んだ円安と金利の上がり方は、株を持っていない人にも届いています。円安は、外国から買うものの値段を上げやすく、金利が上がると、住宅ローンや預金の利息が変わっていきます。

円安は外国から買うものの値段を上げやすく、金利が上がると預金の利息と住宅ローンの利息が変わる

1つ目は、円安です。1ドルが150円台から158円台になると、同じ1ドルのものを買うのに、前より多くの円がいります。ガソリンのもとになる原油や、小麦などの食べ物の多くは外国から買っているので、円安は値上がりの原因の1つになります。

2つ目は、金利です。日銀が利上げを重ね、国債の金利も上がりました。銀行に預けたお金につく利息は増えやすくなる一方で、お金を借りている人は、払う利息が増えることがあります。

変動金利(決まった時期ごとに金利が見直されるしくみ)の住宅ローンを借りている人は、見直しの時期を書類で一度確かめておくと安心です。


投資の目線で見ると ― 政策の追い風・向かい風

高市政権が「お金を入れて育てる」と言った分野は、追い風を受けやすい一方で、ご祝儀相場のように期待が先に値段に入っていることも多い。これが、1年の答え合わせから見えることです。

政策の期待は追い風になるが、期待だけで先に買われた分は、中身が伴わないと戻りやすい
  • 追い風になりやすい:金利が上がると、もうけが増えやすい業種(銀行など)。この1年は、日銀の利上げが進むなかで大きく上がりました
  • 追い風になりやすい:国がお金を入れて育てる17の分野のうち、世界でも需要が伸びている分野(半導体など)
  • 向かい風になりやすい:外国から多くのものを買う業種。円安が続くと、仕入れの値段が上がります
  • 気をつけたい:政策の発表の直後に、期待だけで大きく買われた株。1年たつと、ほぼ元の値段に戻ったものもありました

「政策の発表で、どこまで先に買われたか」と「1年たって、会社のもうけや金利がどう変わったか」を分けて見ると、ニュースのたびにあわてて動かずにすみます。

※特定の銘柄(株を売り買いできる1つ1つの会社)をすすめるものではありません。

こうした「お金の守り方」の考え方をまとめた資料は、記事の最後に置いておきました。


今日の言葉 ― 「ご祝儀相場」

「ご祝儀相場」は、新しいリーダーや新しい年など、おめでたい出来事への期待だけで、中身がわかる前に株が先に買われることです。結婚式でお祝いのお金(ご祝儀)をわたすように、まずお祝いの気持ちで買われる、という意味です。

今日の言葉 ご祝儀相場。新しいリーダーへの期待だけで、中身がわかる前に先に買われること
  • 誰が:株を売り買いする、日本や海外の投資家です
  • 何を:新しい総理大臣の政策で、もうかりそうな業種の株を
  • どうする:政策が実際に動き出す前に、期待で先に買います
  • 今回は:総裁選のあとの10月6日・7日に日経平均が大きく上がり、証券会社の解説はその理由の1つに「ご祝儀相場」を挙げました

ご祝儀で買われた分は、中身がついてこないと、あとで元に戻りやすくなります。防衛の株が、就任の前に大きく上がり、1年後には総裁選の前とほぼ同じ値段に戻ったのは、その1つの例です。


よくある質問

高市政権が発足したのは、いつですか

2025年10月21日です。高市さんは第104代の総理大臣で、日本で初めての女性の総理大臣になりました。

1年で、日経平均はどれくらい上がったのですか

就任の前の日の49,185円から、1年後の64,075円へ、約3割上がりました。いちばん高い終値は、2026年6月25日の72,366円です。

「高市トレード」とは何ですか

株が上がる、円が安くなる、国債の金利が上がる、の3つが同時に進んだ動きのことです。高市さんが総裁に選ばれたあと、日本の報道や証券会社の解説がこの名前で呼びはじめました。

円はどれくらい安くなったのですか

1ドルと交換するのに要る円は、150.90円から158.52円になりました。約7.6円の円安です。

予想が外れたものは、何ですか

防衛の株は、就任の前に大きく上がっていて、1年後には平均で約6.3%下がりました。反対に、就任のころに下がった銀行の株は、日銀の利上げが進んで、1年で大きく上がりました。

中国との関係で、株はどうなったのですか

2025年11月に、中国が日本への旅行を控えるよう呼びかけると、百貨店や化粧品の株が1日で大きく下がりました。ただ、1年後の数字では、百貨店・化粧品の3社の株は平均で約31.0%上がっていました。

政策のニュースを見るとき、何に気をつければいいですか

「発表のあと、どこまで期待で先に買われたか」と「1年たって、会社のもうけや金利がどう変わったか」を分けて見ることです。最初の値動きだけで判断しないことが大切です。


おわりに ― ニュースは、自分のお金の話です

高市政権の1年を、就任のころの予想と1年後の数字で答え合わせしました。株・円・金利は予想どおりの方向に進み、防衛・銀行・中国関係の株は予想と違う動きをしました。

第1回からこれまで、中東の原油、AIのお金、金利、物価、選挙など、世界の出来事が私たちのお金に届くまでのつながりを見てきました。今回は、日本の政治の1年がお金にどう届いたかを見ました。

このシリーズのテーマは、世界で起きたことを1つずつ取り上げて、小学生でもわかる言葉で読み解くことです。

世界の動きに振り回されないための、お金の守り方は、こちらにまとめています。PDFマニュアル・動画セミナー・無料相談の優先案内の3つを、公式LINEで受け取れます。

お金の守り方をまとめて受け取る3つの特典

筆者:株式会社スターストリーム・スタジオ 代表 清水 昴

タグ

#小学生でもわかる #資産形成
Xでシェア Facebookでシェア LINEで送る

コメント

メールアドレスがサイト上に公開されることはありません。

最初のコメントを書いてみませんか?

このカテゴリの新着記事